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『構造主義のかなたへ』(2016)

藤井貞和『構造主義のかなたへーー『源氏物語』追跡』笠間書院、2016年本書は『源氏物語』を巡る研究・小説・批評からなる。藤井貞和氏の意図ははしがきで披露されている。「<構造主義とは何か>を、レヴィ=ストロース氏、およびフーコー氏に沿って、本...
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『京都の歴史を足元からさぐる[洛東の巻]』(2007)

森浩一『京都の歴史を足元からさぐる[洛東の巻]』学生社、2007年著者はあとがきで「学は人の砥礪(しれい)なり」と書いている。「砥は細いトイシ。礪はあらいトイシ。細かい研究にくわえ、大きく物事を見る姿勢の両方が必要」と云っている。さて、久し...
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『平田篤胤』(その2)

吉田麻子『平田篤胤』平凡社新書、2016年著者は第5章を読むことを勧めている。「おそらくこの章に一番のエッセンスがあると思う」(P11)。第五章が重要なことは分かったので、本書の構成をまず見ておこう。第一章 『鬼神新論』(文化2年・1805...
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『奔馬』(1977)を蟬時雨の中で読む

三島由紀夫『奔馬 豊饒の海・第二巻』新潮文庫、1977年、2013年第63刷週刊新潮の「とっておき私の奈良」の三輪太郎氏の1回に大神神社の摂社の率川神社の三枝祭が出てくる。三島由紀夫が書いた率川神社の三枝祭を読むために大垣書店で文庫本を買っ...
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『現代語訳 神皇正統記』(2015)

今谷明『現代語訳 神皇正統記』KADOKAWA、2015年1.統一北畠親房の『神皇正統記』の現代語訳である。『神皇正統記』は(南朝の後村上天皇のために書いたという説もあるが、誰のために書いたのかは定説をみていないと今谷明氏はいう。)南朝の正...
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『平田篤胤』(2016)

吉田麻子『平田篤胤 交響する死者・生者・神々』平凡社新書、2016年ふと手にしてあとがきを見ると、宮地正人『歴史のなかの『夜明け前』ーー平田国学の幕末維新』(吉川弘文館、2015年)のことや、渡辺京二氏のことなどが触れられていた。新書なので...
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『古代の日本と東アジアの新研究』(2015)

上田正昭『古代の日本と東アジアの新研究』藤原書店、2015年著者の最期の論考である。出版時に見落としていたので、今頃手に入れた。もっとも、著者の本は箱に入っていて探せなくなっていたので、まだ、買っていなかったことが幸いしたとも言える。上田正...
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『南朝研究の最前線』(2016)

呉座勇一編『南朝研究の最前線』洋泉社、2016年呉座勇一氏のtwitterアカウントの写真が『南朝研究の最前線』になっていたので、気になっていたが、本の片付けまでは買わないつもりだった。あっさり本の片付けが済んだので、翌日に買ってきた。しか...
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『古代史研究七十年の背景』(2016)

上田正昭『古代史研究七十年の背景』藤原書店、2016年上田正昭氏が亡くなって読み返そうと思った本が片付けしていても出てこなかった。上田正昭氏は『古代の日本と東アジアの新研究』(2015)が遺作と思っていたら、同じく藤原書店から書き下ろし遺作...
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『学習する組織』(その2)

ピーター・M・センゲ、枝廣淳子、小田理一郎、中小路佳代子訳『学習する組織ーーシステム思考で未来を創造する』英知出版、2011年、2016年第10刷今回の増補改訂版は、デミング博士をめぐる扱いが白眉である。当初の本のカバーにデミンク博士の推薦...
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『英国に就いて』(2015)

吉田健一『英国に就いて』ちくま学芸文庫、2015年このエッセイは「象徴」で始まる。しかし、英国と英国人の象徴に薔薇をもってくる話は結構手厳しいことが言われている。「たとえば優しい心、あるいは柔軟な心がなければ本当に無慈悲であることも望めない...
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『人口知能は人間を超えるか』(2015)

松尾豊『人口知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』角川EPUB選書、2015年第9刷人口知能のブームは過去に2回あったと著者はいう。1956年から1960年代が第1次ブーム、1980年代が第2次ブーム。そして、またブームと...
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『執筆論』(2006)

谷沢永一『執筆論』東洋経済新報社、2006年谷沢永一氏の晩年に近い時期に書かれた著作活動に関する回想録である。古本屋との付き合い方の実地体験の話は『本はこうして選ぶ買う』(2004)で知っていたが、生涯の著作の話は読んだことがなかった。「本...
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『大和のたからもの』(2016)

岡本彰夫『大和のたからもの』淡交社、2016年元春日大社権宮司の岡本彰夫氏は「骨董の世界で地名を冠した名称は、「大和古物」の他はない」という。著者の大和古物の三部作について、読者はたぶん知らないであろうと思い、リンクを下に載せた。第1章 大...
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『大和古物拾遺』(2010)

岡本彰夫『大和古物拾遺』ぺりかん社、2010年春日大社の権宮司であった岡本彰夫氏の大和古物三部作です。さだまさし氏が本の腰帯で「読む玉手箱」として「岡本先生のその玉手箱のような頭脳は日本の財宝である。驚くべき碩学、博識であられる事にも驚くが...