読書時間

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ノスタルジーを感じる時

「心になにか屈したものがあるような日、あるいはくたびれてただ呆然と燈火の前にいるような夜、與謝蕪村の句集や画集をとりだしてきてあてもなく眺めるのはいいことだ」(芳賀徹『與謝蕪村の小さな世界』中央公論社、1986年)。芳賀徹は徒然草の第13段...
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『真田信繁の書状を読む』(2016)

丸島和洋『真田信繁の書状を読む』星海社新書、2016年真田信繁発給文書(17)を読むのが中心である。真田信繁が受け取った文書(5)も関連で読む。一般向けの本であるため、古文書そのものも解説してあり、花押にも言及している。このあたりが丸島和洋...
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『杜甫全詩訳注1』(2016)

下定雅弘・松原朗編『杜甫全詩訳注1』講談社学術文庫、2016年全4巻、流石に分厚い。1,457首が年代順に編成してある。知っているつもりの「春望」(0248)が1巻にある。安史の乱の時の詩であった。盛唐の詩にある気宇は感慨においても現れる。...
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『ここまで変わった日本史教科書』(2016)

高橋秀樹、三谷芳幸、村瀬信一『ここまで変わった日本史教科書』吉川弘文館、2016年歴史教科書は検定などで色々と物議を醸しているが、言われているほどに読まれていないし、内容が変わってきていることについてテレビ番組でネタに使われることがあっても...
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『伊勢と出雲』(その3)

岡谷公二『伊勢と出雲 韓神(からかみ)と鉄』平凡社新書、2016年岡谷公二氏の神社の起源を求めての旅はやっとサブタイトルの一つの鉄になった。第一部 伊勢岡谷公二氏が伊勢に出雲の思いの外に濃い影を見つけたわけだが、伊勢津彦も出雲の神と考えてい...
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『伊勢と出雲』(その2)

岡谷公二『伊勢と出雲 韓神(からかみ)と鉄』平凡社新書、2016年岡谷公二氏の神社の起源を求めての旅は続いている。この本は日本異境巡りのルポのようだ。第一部 伊勢金達寿『日本の中の朝鮮文化』4の情報を確認するため、韓神山(からかみやま)を訪...
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『伊勢と出雲』(2016)

岡谷公二『伊勢と出雲 韓神(からかみ)と鉄』平凡社新書、2016年岡谷公二氏の神社三部作であると勝手に思っている。もちろん四部作になるか五部作になるかはわからない(笑)。神社の起源をめぐる韓国、沖縄の旅に続き、伊勢と出雲を対象にした。新羅系...
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『極光』(1981)

上田吉一『極光』将棋天国社、1981年、1987年第2刷『極光(きょくこう)』とはオーロラのことである。序文は伊藤果五段だった。若島正氏と伊藤果氏が興味を持って上田吉一氏を呼んで「京都グループ」ができたと書いてある。この作品集は50局である...
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『古史徵開題記』(その2)

1.統一『古史徵開題記』は平田篤胤が著した我が国の古典の解説書2.目次目次を分解して組み直してみた。システマチックな目次であり、目録大意と開題記も当然ながら対応したものである。「古史徵序」は古の御典(みふみ)を徵(あか)した平田篤胤の書の出...
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『果し状』(2016)

伊藤果『果し状 伊藤果詰将棋50年作品集』マイナビ出版(日本将棋連盟発行)、2016年千駄ヶ谷の日本将棋連盟で購入した。伊藤果氏の詰将棋は『残影』『詰のオルゴール』以来の購入となる。『王将殺人事件』は買っていない。伊藤果氏は職業作家として多...
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『古史徵開題記』(1936)

平田篤胤著、山田孝雄校訂『古史徵開題記』岩波文庫、1936年、1992年第5刷「要するに、今日に於いても古典一般について論じようとする人は先づ本書を見なければならぬものである。本書をも見ず、若くは本書にいふだけの智識をも持たないで古典につい...
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『ヨーロッパ戦後史 上』(2008年)

トニー・ジャット、森本醇訳『ヨーロッパ戦後史 上』みすず書房、2008年Brexitを考えるに当たり、ヨーロッパと何かという問いに戻らざるをえない。あの戦争による荒廃から復興したヨーロッパの「戦後」はどうだったのか。日本では、「もはや戦後で...
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鞍馬寺を解く鍵

森浩一『京都の歴史を足元からさぐる[洛北・上京・山科]』学生社、2008年1.鞍馬寺を解く鍵鞍馬寺は藤原伊勢人(ふじわらのいせど)が開いた。その経緯は『今昔物語集』巻第十一「藤原伊勢人、始めて鞍馬寺を建てる語」で語られるが、ちょっと複雑であ...
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『京都の歴史を足元からさぐる[洛北・上京・山科]』(2008)

森浩一『京都の歴史を足元からさぐる[洛北・上京・山科]』学生社、2008年シリーズ2冊目である。1冊目は4部18章だったことから、章立ての方針に変更があったのだろうか。第1章 賀茂川と高野川の上流へーー鞍馬・貴船・大原の里第2章 洛北、岩倉...
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『構造主義のかなたへ』(その2)

藤井貞和『構造主義のかなたへーー『源氏物語』追跡』笠間書院、2016年第1章 構造への序走クロード・レヴィ・ストロースの『親族の基本構造』(1949)を日本社会で検証するための読み直しである。「婚姻の在り方は古来、社会的な規制に支配されるの...