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『鎌倉と京』(2014)その3

五味文彦『鎌倉と京 武家政権と庶民世界』講談社学術文庫、2014年久しぶりに読んでみて、通史の難しさを感じた。「やっと書き終えてみてあらためて思ったのは、歴史を書く、叙述するとはどういうことか、という問題である。いろいろな史料を読み、論文を...
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『チベットのモーツァルト』(2003)

中沢新一『チベットのモーツァルト』講談社学術文庫、2003年書誌情報「本書の原本は、1983年11月、せりか書房より刊行」(p.334)。吉本隆明の解説について、学術文庫版まえがきにコメントがある。中沢新一氏が問題を攻略するやり方は「いまな...
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『文化が違えば、心も違う? 文化心理学の冒険』(2025)その2

北山忍『文化が違えば、心も違う? 文化心理学の冒険』岩波新書、2025年後から買った本にオーバーライドされるのが研究所に来た本の運命かもしれない。世にいう積読である。もはや古書店と化した本箱を漁って本を持ち帰る人がいたが、本に対する嗅覚は捨...
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『日本哲学入門』(2024)を読む

藤田正勝『日本哲学入門』講談社現代新書、2024年書誌情報10講義からなり、日本の哲学を明治から現代の時間軸で論じるのではなく、①「経験」②「言葉」③「自己と他者」④「身体」⑤「社会・国家・歴史」⑥「自然」⑦「美」⑧「生と死」というテーマか...
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『藤原摂関家の誕生』(2025)を読む

瀧浪貞子『藤原摂関家の誕生 ー皇位継承と貴族社会』岩波新書、2025年要約本書は藤原摂関家の誕生の経緯を述べたものである。藤原北家の内麻呂、冬嗣、良房の事績により摂関家が誕生した経緯が辿られる。瀧浪貞子氏は桓武、平城、嵯峨の三帝に仕えた藤原...
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「京都ぶらぶら」を読む

石川淳『夷齋遊戯』筑摩書房、1963年修学院離宮を「灌木というナマのままの材料を使って、蔵よりも厚く塗りこめ、橋のように廣く架けわたした城壁がここにある」(p.101)と表現している。夷齋先生、だいぶ調子がよろしい。「城のない城壁。そのくせ...
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『英作文の技術 ”3世界・24文型”で伝える』(2025)で気になった点

澤井康佑、マーク・ピーターセン『英作文の技術 "3世界・24文型"で伝える』中公新書、2025年本書は英語の5文型を細分化して「3世界・24文型」で英作文に応用しようという本である。以下のbe動詞の説明で気になる点があったもでメモしておく。...
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『天下泰平』(2002)を読み直す

横田冬彦『日本の歴史16 天下泰平』講談社学術文庫、2009年、2014年第3刷書誌情報2002年に刊行されたものを文庫化した。年表、参考文献、索引がある。以前、子安宣邦先生が、江戸初期の知のネットワークの話をしてくれた時に、買い求めて関係...
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『書架記』(1973)を読む

吉田健一『書架記』中央公論社、1973年たまに本箱から取り出して頁を捲ったりする。そんな本は数少ないが、旧仮名遣いの本が読みたくなる時もある。知識としての本はそのうち捨てることになるから、この世におさらばするときまで近くに置いておく本を選ば...
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『一般システム理論』(1973)を読む

L. フォン・ベルタランフィ、長野敬・太田邦昌共訳『一般システム理論 その基礎・発展・応用』みすず書房、1973年、2013年第22刷書誌情報参考文献、人名索引、事項索引がある。ただ、半世紀前なので、現在との繋がりを知るにはGAIに教えても...
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『法然の手紙を読む』(2025)を読む(その5)

阿満利麿『法然の手紙を読む』ちくま学芸文庫、2025年第四章 なにが念仏を妨げるのか?1  本願を疑う(ある人のもとへつかわす御文)阿満利麿氏は「短文だが、法然の思いが凝縮している名文であろう。繰り返して読んでみたい、暗記しておきたい文であ...
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『英作文の技術 ”3世界・24文型”で伝える』(2025)を読む

澤井康佑、マーク・ピーターセン『英作文の技術 "3世界・24文型"で伝える』中公新書、2025年著者について著者の澤井康佑氏は『英文法再入門』(中公新書、2021年)を読んだことがある。マーク・ピーターセン氏は『日本人の英語』(岩波新書、1...
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『文化が違えば、心も違う? 文化心理学の冒険』(2025)を読む

北山忍『文化が違えば、心も違う? 文化心理学の冒険』岩波新書、2025年本書の目的は「多様性の本質を探究し、そこに隠された共通原理を解明することである」(p.v)。多様性と普遍性の関係を問う本である。参考に文献の替わりに2本のレビュー論文が...
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『法然の手紙を読む』(2025)を読む(その4)

阿満利麿『法然の手紙を読む』ちくま学芸文庫、2025年第三章 死後を見定める正如房へつかわす御文を読むことになった。正如房(しょうにょぼう)は誰かと思ったら式子内親王のことという(p.203)。式子内親王は新古今和歌集に49首入集している。...
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『法然の手紙を読む』(2025)を読む(その3)

阿満利麿『法然の手紙を読む』ちくま学芸文庫、2025年第二章で残された大胡太郎実秀宛の手紙を読もう。「三心(さんじん)」の解説になる。「「三心」とは、『観無量寿経』に説かれている、極楽浄土にいたるための十六の観察方法のかなの代十四番目に出て...