ドナルド・キーン、金関寿夫訳『百代の過客 日記にみる日本人』講談社学術文庫、2011年
「終わりに」で、ドナルド・キーンは「私は『百代の過客』の中で、838年の円仁に始まり、1854年の川路聖謨(かわじとしあきら)の日記に終わる、ちょうど千年余りの期間に記された日本人の日記を取り扱ってきた」(p.604)と書いている。
『百代の過客』は松尾芭蕉の『奥の細道』の「月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人也」を思い出す題名である。月日は永遠の旅人である。著者は「私が探し求めていたものーーすなわち、日記というもっとも私的な文学形式の中に表された、作者自身の言葉による日本人のイメージを発見し得たと思う」(同上)と書いている。
「入唐求法巡礼行記」(pp.31-36)の項を読むと、『入唐求法巡礼行記』には「個人的」と言えるような記述はほとんど見当たらないと書いている(p.31)。
私も東洋文庫の上下2巻本を読んだことを思い出そうと試みたが、記憶は茫々としている。まして本はどこかの箱の中である。暑い夏なのでそのまま過ぎて行くことになるだろう。
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