松尾芭蕉 板坂元、白石悌三校注・現代語訳『おくのほそ道』講談社文庫、1975年、1979年第6刷
文庫本を処分する判断を迫られて、これを残すことにしたのは、『おくのほそ道』をこのあとくずし字で読む予定があったので、電車の中で読んだ。板坂元が書いていたが、『おくのほそ道』をわび・さびからだけ読んでは面白くない。虚実織り交ぜたなかに人の心に響くものがある。最上川を読んだ二句をみても力強くスケールが大きく映像的である。
五月雨をあつめて早し最上川
暑き日を海に入れたり最上川
本書のユニークなところは諸家の『おくのほそ道』に関する文章が「近代の眼」として採録されていることである。その掉尾に堀田善衛の『若き詩人たちの肖像』(新潮社、1968年)から敦賀がとりあげられていた。この南朝の末裔に関わるお婆さんの話が面白いので、図書館が使えるようになったら調べてみようと思う。
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