2017-04

ひととき

91 「雨音と黒縁メガネ」千宗室

ひととき 2017年5月号の千宗室さんの京都(みやこ)の路地(こみち)まわり道は「雨音と黒縁メガネ」というタイトルでした。家元が期待していた本に裏切られて所在のない夜を過ごすことになった。雨音がフォービートに聴こえ、ジャズのCDを捜すことに...
読書時間

『頼山陽とその時代 上』その4

中村真一郎『頼山陽とその時代 上』ちくま学芸文庫、2017年第1部第5章 女弟子たち「京都生活における精神の自由のあらわれのひとつとして、放蕩の他に「女弟子」というものがある」(上P106)。中村真一郎の思わせぶりの記述である。さて、全ての...
読書時間

『頼山陽とその時代 上』その3

中村真一郎『頼山陽とその時代 上』ちくま学芸文庫、2017年第1部第4章 遊蕩と禁欲京都に出ても頼山陽の放蕩は止まなかった。中村真一郎は性欲と神経症の関係性に触れたが、神経症はよくなった。妾を置くことで東方(祇園)へ通う気がおこらなくなった...
古都を旅する

談山神社

週刊新潮の「とっておき私の奈良」直木賞作家の黒川博行氏の1回目は「談山神社」でした。談山神社は何度か訪れましたが、そう容易に行けるところではありません。奈良は見所が離れているので、目標にしないと行けないところです。黒川氏なら京都かと思いまし...
読書時間

『頼山陽とその時代 上』その2

中村真一郎『頼山陽とその時代 上』ちくま学芸文庫、2017年第1部第1章 病気と江戸遊学中村真一郎は頼山陽の病気を我が事に惹きつけて考えている。頼山陽の神経症は15歳で再発したと母の日記にある。初発は8歳である。18歳で江戸へ遊学した。1カ...
読書時間

『頼山陽とその時代 上』

中村真一郎『頼山陽とその時代 上』ちくま学芸文庫、2017年(書誌情報)1971年に中央公論社で刊行され、1976年から1977年にかけて中公文庫3巻となった。今回はちくま学芸文庫で上下巻となって出版された。下巻が厚い。漢字は新字体、訓読文...
断片記憶

「知的生活」とは何か

「知的生活」とは故渡部昇一氏のいう「知的生活」というのは考えてみればよく分からない言葉だ。P.G.ハマトンのThe Intellectual Lifeからきていると思われる。「方法」はhow-toではなくwayであろう。渡部昇一は「知的生活...
古都を旅する

野宮神社

週刊新潮の「とっておき私の京都」樂吉左衞門氏の4回目は「野宮神社」でした。樂吉左衛門氏は嵯峨野の野宮神社(ののみや)がお好きなようです。歌人の故山中智恵子の『斎宮女御徽子女王』(1976年)を読んで斎宮女御徽子(きし)女王に強く惹かれるとい...
断片記憶

渡部昇一氏逝く

2017年4月17日に渡部昇一氏が亡くなった。86歳だった。私は、知的生活の方法に憧れたので『知的生活の方法』(1976)『続 知的生活の方法』(1979)『知的余生の方法』(2010)『実践・快老生活』(2016)を読んできたが、最後の本...
散歩時間

『19世紀パリ時間旅行』(2017)

鹿島茂『19世紀パリ時間旅行 ー失われた街を求めてー』青幻舎、2017年練馬区立美術館で鹿島茂コレクションを見る。ナポレオン3世によるパリ改造で失われたパリを版画で再現したものが中心であるが、パリの生い立ちから始まり、オスマンのパリ大改造の...
読書時間

『蕩児の家系』(1975)

大岡信『蕩児の家系 日本現代詩の歩み』思潮社、1975年帯にある清岡卓行先生の批評が本書の意義を要約している。「日本の近代・現代詩の流れを、「大正詩序説」、「昭和詩の問題」、そして「戦後詩概観」の三部において考察したもので、大岡信がいわばそ...
読書時間

『征夷大将軍・護良親王』(2017)

亀田俊和『征夷大将軍・護良親王』戎光祥出版、2017年大塔宮護良親王は名前くらいであまり知られていない。活動時期も短いし、南朝側なので史料も少ない。どう扱うかと思っていたが、議論を併記したり、亀田先生自身の見解を出したりして分かりやすく読ま...
古都を旅する

三千院

週刊新潮の「とっておき私の京都」樂吉左衞門氏の3回目は「三千院」でした。樂吉左衛門氏は久多の山荘の帰りによく立ち寄ったそうです。毎年5月30日は御懺法講(おせんぼうこう)があります。一般には公開されてません(招待のみ)が、11時から2時間に...
読書時間

『岡倉天心』(1975)

大岡信『朝日評伝選4 岡倉天心』朝日新聞社、1975年大岡信氏逝くでも書いたが、岡倉天心に関する評伝本は40年という時の経過で本に付いてるカバーや帯は時の風化を受けている。しかし、手掛かりはそれしかない。第1章 種子の中にある力、そして文章...
断片記憶

大岡信氏逝く

大岡信『朝日評伝選4 岡倉天心』朝日新聞社、1975年大岡信氏が亡くなった(2017年4月5日)。事務所へ行き本を探そうと書棚を見たが、目的とは違う本に目が止まった。岡倉天心について書いた本である。大岡信は美術史家でもないし、思想家でもない...