井波律子『三国志名言集』岩波書店、2005年を読む。その2。
『三国志演義』の文体は白話(口語)長編小説であるが、格段に文言(文語)に近いという。白話で書かれた小説でも『水滸伝』と違って訓読できるという。それは読んできてわかったが、解説を読むまで気にならなかった。名言集は会話ではなく、地の文から採っていたからである。
第一百二十回は長篇詩の末尾の四句が採られていた。
紛紛世事無窮尽
天数茫茫不可逃
鼎足三分已成夢
後人憑弔空牢騒
紛紛たる世事 窮まり尽くること無く
天数 茫茫 逃がる可からず
鼎足三分 已に夢と成り
後人 憑弔して空しく牢騒
三国分立から三国滅亡、西晋による全土統一で『三国志演義』は物語を終える。
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