別宮貞徳『さらば学校英語 実践翻訳の技術』ちくま学芸文庫、2006年
<書誌情報>
本書は1980年12月20日、ジャパンタイムズより刊行された『翻訳の初歩』を大幅に増補改訂したものである。
第1章 翻訳は知的なパズルである 15頁
第2章 翻訳は英文和訳とはちがう 31頁
第3章 英文和訳から翻訳へ 77頁
第4章 良訳を目ざして 33頁
第5章 誤訳を防ぐには 29頁
第6章 まちがいやすい語句 122頁
第7章 翻訳演習100題 30頁
第1章から第5章の前半まで、ほぼ『翻訳の初歩』を踏襲し、第6章を新規に書いて、第7章を元の第6章から精選したとある。
章の量にばらつきがある。第6章は122頁、全体が348頁なので35%ある。
<内容>
昔の中学・高校の英語のリーダーを題材に、翻訳論を展開しているので取っ付きやすい。
Theodore H. SavoryがThe Art of Translationの中で3つの質問の形で翻訳の展開をまとめている。
What does the author say?
What does he mean?
How does he say it?
同じくRonald Knoxが翻訳の要件をTrials of a Translatlonで3つあげいている。
to be accurate(正確であること)
to be intelligble(理解できること)
to be be readable(読むにたえること)
別宮氏はSavoryの法則とかKnoxの法則という言い方をしていて、第1章と第3章で繰り返している。
さすがに、第3章になるとリーダーが高校1年になるので、例文がパラグラフになる。
第4章では良訳にいたる道を4つあげている。
・日本語を書く
・イメージをえがく
・しゃれて書く
・耳をすまして書く
ちょっとタイトルでは想像がつかない。
第5章の教訓をメモする。
教訓の1 ひとが書いた注や説明をうのみにしないこと
教訓の2 辞書のひき方、読み方をまちがえないこと
教訓の3 外国の風俗習慣をよく知ること
教訓の4 辞書はこまめにひくこと
教訓の5 できるだけ雑学を身につけること
教訓の6 正確で十分な英語の力をつけること
教訓の7 注意に注意を重ねて原文訳文を読みかえすこと
教訓の8 論理的に考え、常識を働かせること
教訓の9 みだりに先走りしないこと
教訓の10 わからないこと、不審なことは、ためらわずひとにきくこと
最後の教訓 できたら翻訳をひとに読んでもらうこと
第6章は総まとめ
別宮氏の翻訳に関する本はたくさんある。エッセンスだけを抜き出したような感じだが、私もやらかしていた。思うに外国語は学校を離れてしまうと文法書や辞書も使わなくてなって実践あるのみになるので、人から言われないと気づきにくいところがある。
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