『AIエージェント革命 「知能」を雇う時代へ』(2025)を読む

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スグマクシス『AIエージェント革命 「知能」を雇う時代へ』日経BP、2025年

ビジネス向けの一般書である。

第1章 AIエージェントがビジネスに与える影響

AIエージェントを定義することは難しい。本書は、AIエージェントをGoogle、Amazon Web ServiceやMicrosoftなどから特徴づけを行っている(p.16)。

1.大規模言語モデルをつかう

2.与えられたゴールを達成する計画を立てる

3.与えられたツールを使って外部とやり取りする

4.立てた計画に沿って臨機応変に実行する

5.自律的に行動する

第2章 AIエージェント活用サービス事例

コンパクトな事例のまとめである。

本書は第3章が参考になった。

第3章のAIエージェントの基盤技術

AIエージェントの背景となる技術として深層学習から、大規模言語モデルがどのように登場し、発展してきたかの説明がが面白かった。

AIエージェントの技術的構成は、AIエージェントの主要な要素技術が解説されていた。

「筆者は、実際にマルチエージェントシステムを構築して、AIエージェント同士が日本語で会話しているのを見て、なぜ非効率的な人間の言語でコミュニケーションを取っているのか疑問に感じるときがある」(p.110)。

マルチエージェントの効率的な制御はまだ発展段階にあるのだと思った。

エージェントという言葉の使われ方に少し違和感を感じるものがあったが、エージェントという言葉に2つの意味があることが説明されていた(p.133)。

agentには「他人を代理して行動する人」と「特定の結果を生み出す人や物」の意味があり、前者はツールエージェントで、後者はシミュレーションエージェントに対応する。シミュレーションエージェントは本書ではほとんど扱われず、ツールエージェントが対象となっている。

第4章 AIエージェントの導入と運用

LangGraphを用いたAIエージェントの導入はAIエージェントアプリケーションの設計である。設計方法の手順が示されるが、最初にアプリケーションの目的と入出力の定義が置かれており、ビジネル上の課題が何かを見極め、目的を明示することの必要性が強調されている。

第5章 AIエージェントが拓く未来

ここにあるエキスパートインタビューで、ギリア ファウンダー・顧問の清水亮介氏の「欲しい、好きという気持ちが最大の価値となっていく」とNTTの爪長美菜子氏の「魚や蜂のエージェントが実装される世界」が良かった。

後者は環世界の話で、環世界のAIエージェントという考え方であった。

AI革命

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