『構造主義のかなたへ』(その2)

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藤井貞和『構造主義のかなたへーー『源氏物語』追跡』笠間書院、2016年

第1章 構造への序走

クロード・レヴィ・ストロースの『親族の基本構造』(1949)を日本社会で検証するための読み直しである。「婚姻の在り方は古来、社会的な規制に支配されるのが一般で、それを”婚姻規制”と称することにする。」と始まる。

「通い婚に始まり、直接婚、婿取り婚、”よめ”といういいかたなど、実にさまざまな様相が可能だった日本古代にこそ、物語文学をかずかず産み出してきた大きな理由はあった」。これは、「婚姻規制」というより「婚姻形態」の話であろうと思った。「婚姻規制」(インセスト・タブー)は自然から文化へ移行するに当たり結婚相手が制限され、家族構造が定まるという話だ。「婚姻形態」もよくよく読んでいくと、男が結婚の相手を自宅に入れるための儀式の違いとも読める。手元に適当な本がないので、昔の雑誌の埃を払って読み始めたら、面白くて本書に戻ってこれなくなった。

江守五夫「婚姻形態から見た日本文化の諸相」『創造の世界 第52号』小学館、1984年

なお、藤井貞和氏は「三代にわたる交叉いとこ婚の連鎖を『源氏物語』に見出した」(P336)ことを記録しておく。

第1章以外はどの順番で読もうか。発表順でもよいかとも思う。フェミニズムからの批判という流行に藤井貞和氏が『源氏物語』の読み方をもってこたえる本のようだ。

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