『亰 kyoto in KYOTO』(1965)

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大佛次郎、岩宮武二『亰 kyoto in KYOTO』淡交新社、1965年、限定2,000部

大佛次郎 が岩宮武二の写真集に「人間がいる風景 アルバムの伴奏として」を書いていました。「京の南の郊外の古い道を、人家の聚落のある中に入ったら、町角に「鳥羽の恋塚」と標示してあるのを見た」と始まります。鳥羽の恋塚とあったので、六地蔵巡りで鳥羽の浄禅寺に行ったことを思い出しました。

思いがけなく見つけたと大佛次郎は書いています。千本通をここまで歩いて下がってきたのでした。私も桂地蔵を見て、車でここまできましたが、この後はどうやって帰ったのか忘れてしまいました。今、行くとしても難しいですね。

岩宮武二は「暮らしの色」を八坂神社の御幣を撮したものから始めました。大写しにしています。私なら引くところを、岩宮武二は近づいてシャッターを切りました。解説を読むと神主さんに頼んで榊と幣紙を新調してもらったといいます。あるがままを撮したというより、神々しさと瑞々しさ引き出しという感じがします。

重い写真集で古書でもあるので、私の扱い方も丁寧さを欠いて角をぶつけてしまいました。箱も壊れていたことに気がつきました。安いのは訳があったのでした。足の上に落としたらえらい事になりそうなのでソファーで座って見ています。

「春夏秋冬」をめくっていったら、高山寺の石水院が出てきました。最近書いたことを写真で確かめることができました。新緑と紅葉の写真を見ていると、蔀戸は見たなという感じがしました。

「祈りのかたち」は大沢池畔の石仏で終わります。その景色はもうないのかもしれません。この写真集に閉じ込められた記憶を私が、自分の記憶でもないのに呼び起こしているような気がします。何故か既視感があるのでした。

注)本のタイトルをよく見たら、「京」でなくて「亰」という漢字を使っていました。

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