高橋秀樹、三谷芳幸、村瀬信一『ここまで変わった日本史教科書』吉川弘文館、2016年
歴史教科書は検定などで色々と物議を醸しているが、言われているほどに読まれていないし、内容が変わってきていることについてテレビ番組でネタに使われることがあっても変化の全体は知られていない。メールマガジンでの案内もきたので、日本史教科書を徹底的に読み込んだ人達の本を復刊ドットコムで注文して読んでみることにした。
著者たちの主張
「執筆者の3人は、文部科学省において十数年にわたって小学校・中学校・高等学校すべての日本史教科書に接する立場にあった。教科書調査官の英語表記は「Senior Specialist for Textbook」だが、その名の通り、日本史教科書の専門家であることは間違いない。しかも、それぞれが日本史研究者として第一線に立っており、専門分野の研究状況を一応は把握している。そうした執筆者の知見に裏付けられているというのが本書の特色になっていると思う」。
本書の構成
テーマ毎に独立しているため読み易い。
原始・古代 12
中世 12
近世 12
近現代 10
日本史教科書Q&A
付録に平成19年度と昭和44年度の中学校学習指導要領(歴史的分野)を載せる他、検定基準も抜粋で載せている。
感想
この本を読んだからといって歴史認識が改まるというわけではないが、自分の知識に精粗があり、違う見方があることに気がつく。
聖徳太子の扱い方などを見ると大人の教科書であることが分かる。
驚いたのは、忠臣蔵で有名だと思っていた「赤穂事件」を「取り上げる中学校歴史教科書は3点、シェアでいえば全体の6パーセントに満たない」という。「高校の日本史教科書でも、3点が」囲みで取り上げるほかは、注記だという。
これでは話が通じない訳である。
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