三鬼清一郎『大御所 徳川家康 幕藩体制はいかに確立したか』中公新書、2019年
日本を考えるにあたり、古代国家である律令国家、中世の幕府、近代明治国家に関心がある。最近は中世の本を読むことが多い。その意味で、江戸徳川幕府を開いた徳川家康を正面から論じた本はあまり読んでこなかったことに気がついた。近世の本は何故か食指が動かなかった。どうアプローチするか分からずに、思想史から江戸を知ろうとしてみたが、私には政治史の方が慣れているので、三鬼清一郎氏は秀吉に関する論文を読んでいたので安心して買うことにした。
本書は徳川家康が将軍職を秀家に譲った慶長十年(1605)から元和二年(1616)に没するまでの十一年間を大御所時代として扱っている(v)。ただし、論じている内容によっては寛永まで入る。家康の神格化により、家康の政策と異なることも「祖法」とした幕府の体制が対比される。
コラムを読むと小説が幾つも取り上げられている。三鬼清一郎氏は歴史家であるから、歴史を扱った小説には手厳しいかと思ったが、小説を紹介する文章が見事で、読みたくなってしまった。
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