『鎌倉と京』(2014)

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五味文彦『鎌倉と京 武家政権と庶民世界』講談社学術文庫、2014年
書誌情報
『大系日本の歴史第5巻 鎌倉と京』(小学館、1988年)の小学館ライブラリー版(1992)を文庫化したもの。通史である。基本史料一覧、参考文献、年表がついている。「本書が扱うのは、中世といっても、その前期、一二世紀後半から一四世紀前半の約一八〇年間である」(p.21)。
中世への案内
日蓮の勉強ぶりが述べられる。その書状をみるに日本の歴史を学び、日本の現状を良く調べたことがわかる。人口や田数はかなり確実な資料によっているという(p.18)。驚くのは、男女比が二対三となっていることだ。鎌倉の新大仏の勧進にあたった浄光上人は、奈良時代の行基が大仏建立のために勧進したといわれる数値「男女四十五億ハ万九千六百五十九人、男十九億九万四千ハ百二十八口、女二十五億九万四千ハ百三十一口」を引用して、人別一文の勧進の許可を求めている。これによれば男約二百万、女約二百六十万である」(p.20)。仏像には結縁した人びとの名前が胎内に納められているが、そこに記されているのも女が多いという。
古代から女が多かったのだ。中世が仏教の時代であり、「あるいは女の多さが、日本の歴史上まれにみる仏教の時代を生んだといえなくもない」(p.21)。

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