虎尾達哉『苦悩の覇者天武天皇 専制君主と下級官僚』吉川弘文館、2024年
虎尾達哉氏の『古代日本の官僚』(中公新書、2021年)を読んだ身としては下級官僚の話を期待して購入したところもある。働かない官僚を率いて律令国家の構築に邁進したであろう天武天皇の事績を壬申の乱の終結後から始める。
壬申の功臣の顕彰の話が出てくる。天武天皇が唐の皇帝に擬えて功臣の顕彰を行ったという話では終わらない。天武天皇の系譜においては壬申の乱の功績が子孫を越えて伝えられていく。王権簒奪者の結末を知っているが(最初と最後に武力による王権簒奪があった。)、政策までは解像度がなかったので面白かった。
律令国家を形成する下級官人が、地方の中小豪族層からなっていることで、レベルが低かった話は『古代日本の官僚』(中公新書、2021年)に重なる話だった。
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