『山家鳥虫歌』(1984)

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浅野健二校注『山家鳥虫歌ーー近世諸国民謡集ーー』岩波文庫、1984年

高木市之助博士所蔵の明和刊本『山家鳥虫歌』を底本としている。明和は1764年から1771年である。山家農村の民衆の歌謡398首を集めた民謡の原点であると帯にある。

1 めでためでたの若松様よ 枝も栄える葉も茂る

花笠音頭の歌詞にも使われる民謡である。「諸国盆踊唱歌」として国別に記されており、山城国風(くにぶり)として京都に分類された唄である。若松は新年の小松として繁栄・長寿の賀の象徴である。

197 嬉しめでたの若殿様よ 知行増します程なしに

この信濃の一首には浅野健二によれば「若殿様」に「若松様」を掛けているという。そう解釈しないとやや野鄙な歌である。諸国に流布した本歌の替歌であろう。

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