『哲学者たちの天球』(2022)を読む

読書時間

アダム・タカハシ『哲学者たちの天球 スコラ自然哲学と形成と展開』名古屋大学出版会、2022年、2025年第3刷

(書誌情報)

西洋中世哲学の専門書。

「本書の大半は、オランダのラドバウド大学(Radboud University Nijmegen)にて、2017年に提出した博士論文『アリストテレスのコスモスを解釈するーーアヴェロエスの読者としてのアルベルトゥス・マグヌス』(Interpreting Aristotle’s: Albertus Magnus as a Reader of Averroes)が元になっているが、元論文が英語であるため、それをまず日本語に移し替え、かつ多くの加筆・修正をほどこすことで本書は完成した」(p.232)とあとがきにある。過去の研究史を概観するセクションは省略し、先行研究については註での言及にとどめたという。

索引、参考文献、註が完備されている。

「西洋的なものは、どのように他者を内面化し、かつ排除することで生み出されたのか」(p.231)という問題意識は、著者にヨーロッパ的な思想の成立過程を再考させたとも言える。

「だが、本書を書き終える段階で、ロシアとウクライナとのあいだに突如戦争が生じた。(省略)この出来事によって「ヨーロッパとは何か」という事柄が、すでに確定した自明の事実ではなく、一つの〈問い〉として存在しつづけていることが明らかになったように思われる。(省略)そのような出来事は、或る権力体制の確立においては、その体制内へと内面化される部分と排除されるものとのせめぎ合いが必須の条件として存在することを示唆しているようにも感じられる」(p.232)。

序章と終章を除き全7章からなる。

私の興味もヨーロッパとは何かにある。それは自分のアイデンティティである日本とは何かの延長線上にある問いである。本書はアリストテレスの概説書を手元に置いてじっくり読むことにしたい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました