野村胡堂『銭形平次捕物控 傑作集1陰謀・仇討篇』双葉文庫、2019年
書誌情報
『銭形平次捕物全集』(河田書房刊、1956年〜1958年)を底本とし、「陰謀」「仇討」をテーマとした6編を厳選したという(編集部)。このセレクションはテーマ別というのがミソである。
『銭形平次捕物控傑作篇』は以下の通り。
一 陰謀・仇討篇
二 感情感涙篇
三 暗号・謎解き篇
四 八五郎大変篇
五 江戸風俗篇
六 決死・冒険篇
解説を郷原宏氏が書いていた。
映画やテレビで観てきた「銭形平次」も原作は読んだことがなかった。今回、入院時の差し入れで読むことになった。
映画であれテレビ時代劇であれ原作と異なるものであるのは、メディアの宿命である。それにしても「銭形平次」といえば大川橋蔵である。私の年齢にもよるが、普通に見ていたし、舟木一夫の唄うテーマソングが頭にこびりついている。
「金色の処女」が昭和6年(1931)『文藝春秋オール讀物号』(現在の『オール読物』)の四月創刊号に掲載されたのが始まりという(解説)。
戦前であるが「です」「ます」調の時代小説であった。ミステリーなので中身については書けないが、入院の暇潰しなった。戦前の小説が漢字表記を変更するだけで読めるようになったわけではなく、野村胡堂の文体が今でも通用すると考えたい。
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