松浦玲『勝海舟と西郷隆盛』(岩波新書、2011年)
書誌情報
松浦玲氏の新書は年譜、参考文献、索引が付いている。
近年は明治維新を記念する行事もあって、研究も進んできた。ただ、新説に飛びつく前に、問題設定が必要だと思うのは、瑣末な議論を追うことで、明治維新について、士族による暴力革命という本質を見失ってはならないからである。
松浦玲氏は勝海舟と西郷隆盛の交友に絞った新書を書いていた。二人を二面性から説明する。
「海舟は、維新変革の最大の功労者である西郷と、保守的な薩摩士族の一員として強烈に縛りつけられている西郷との二面性を理解した」(iii)。
一方、「西郷の方では、早く幕府を見限った海舟と、東征軍に対し徳川を擁護した海舟の二面性を、理解している」(iii-iv)。
海舟が木下川(きねがわ)の浄光寺(いま東京都葛飾区)に建てた「留魂碑」の表は西郷隆盛の詩、裏が海舟の文であると云う。
西郷詩とその訓読は105頁にある。
裏面は海舟の文とその訓読(106-107)である。
友人勝安芳と誌している。
勝海舟は亡友南洲氏という詩もあり127頁に訓読と共に載せてある。
勝海舟の詩には友情に溢れた響きがある。
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