『古代日本語文法』(2020)

読書時間

小田勝『古代日本語文法』ちくま学芸文庫、2020年

英語の文法書と古文の文法書は読んでも現代日本語の文法書を普通の日本人が読むことはない。外国人に日本語を教えるために日本語文法の本の需要があるだけのようである。高校の現代文の教科書の趣意書の一つを見たが、「文法」という言葉は使われていなかった。他を見るまでもなく趣意書は文部科学省の指導によるので学習指導要領に外れることはない。

本書は、「中古和文を中心とする古代日本語の文法を概説した」(P3)ものである。古代日本語の概説を読むことは、古代と現代の日本語の文法の違いを意識させることになる。本書は、「現代語の記述文法の枠組みで、古代語文法を記述」(P3)したところに特色がある。現代語の視点から古代日本語を見ることは、現代語文法から首尾一貫した説明がされることである。

小西甚一の学習参考書は読み物として読むにはよいが、辞書的に引くには冗長なところがある。本書の参考文献を見ると、現代の研究レベルを示すべく整理されたことが分かる。小西甚一の名前はなく、佐伯梅友はある。やはり、最新研究をもとにした本を手にしたのは正解だ。

注)明治書院 現代文B 編集趣意書では文法という言葉は使われていない。

編修趣意書・内容の特色・シラバス案 - 明治書院
編修趣意書・内容の特色・シラバス案お知らせ詳細をご覧いただけます。

明治書院 古典B 編集趣意書では「文語文法」「文法要覧」という言葉が使われていた。

編集趣意書 中学校 国語(令和元年度検定)

編修趣意書 中学校 国語(令和元年度検定):文部科学省

東京書籍の1年を見ると、ゲーム感覚で取り組める「文法の窓」と言った記述が見られた。これは中学の国語には古典も含まれるからである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました