『日日是好日』(2008)は雨の日に読むに限る

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森下典子『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』新潮文庫、2008年、2011年第4刷

「すると、ある日突然、雨が生ぬるく匂い始めた。「あ、夕立が来る」と、思った。庭木を叩く雨粒が、今までとはちがう音に聞こえた。その直後、あたりにムウッと土の匂いがたちこめた」(P6)。

読みながら、養老孟司氏の番組を思い出していた。養老孟司氏は窓の外を見ながら風の変化で雨の来るのを感じていた。

森下典子氏は、稽古を積み重ねることで、「お茶」の世界を五感で読み解いていく。

日日是好日は「にちにちこれこうじつ」と読む。

雲門文偃禅師の言葉である。有馬頼底氏は『必携茶席の禅語ハンドブック』(里文出版、2008年)では「毎日が吉祥の日である」と解している。

森下典子氏は昭和52年に二十歳で最初にお茶を習ったときに、長押の上の額に「日日是好日」という言葉に出会っていた(P31)。その翌年の3月のお茶会で掛け軸に見覚えのある文字を発見して、「「毎日がいい日だ」は「毎日がいい日だ」」(P100)といっていた。それが、平成3年6月、滝のような雨音に耳がつまったような経験をした時、感覚が目覚めたのである。「聴雨」という掛け軸をみて、長押の上のいつもみていた額の「日日是好日」のメッセージに気づいたのである。

「目を覚ましなさい。人間はどんな日だって楽しむことができる。そして、人間はそのことに気づく絶好のチャンスの連続の中で生きている。あなたが今、そのことに気づいたようにね」(P219)。

文庫本なので解説があり、柳家小三治氏が「大切な本」と書いていた。

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