『仏教の思想2 存在の分析<アビダルマ>』(1969)

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桜部建・上山春平『仏教の思想2 存在の分析<アビダルマ>』角川書店、1969年、1978年第10版

アビダルマ思想の現代にもつ意義を確認する旅を始めます。

書誌情報

角川書店の仏教の思想シリーズ12巻は、上山春平氏と梅原猛氏が仏教思想の専門家と組んで、論文を書き、対談を行うことで仏教を思想として体系化して捉えたものです。昭和44年(1969)に刊行され、現在は角川ソフィア文庫、kindle版が入手可能です。

仏教の思想

上山春平氏が「テーゼ(正)としてのアビダルマ、アンチテーゼ(反)としての中観、ジンテーゼ(合)としての唯識というトリアーデ(三つ組)が、いつのまにか頭の中にできあがっていて、このトリアーデと、ヨーロッパ近代哲学における大陸合理論(正)ーーカント批判哲学(反)ーーヘーゲル思弁哲学(合)というトリアーデとの対比に、私は強い関心をいだくようになっていた」(P3)と整理していました。

上山春平氏が仏教思想の発展段階を弁証法で捉えることを書いていましたが、当たっているかどうか分かりません。桜部建氏と服部正明氏は仏教学の専門家ですが、上山春平氏は哲学者でアビダルマは2ヶ月ほど読んだだけと書いていました。普通なら対談すらも成り立たないと思います。

しかし、このシリーズは仏教思想の概説書として半世紀も売れています。体系的な本は企画が難しいのでしょう。

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