『増補 『徒然草』の歴史学』(2014)

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五味文彦『増補 『徒然草』の歴史学』角川ソフィア文庫、2014年、kindle版

『太平記(二)』(兵藤裕己校注、岩波文庫、2014年)を読んでいて、そう言えば、『徒然草』は鎌倉幕府の滅亡の前のことだと思い出した。『太平記(二)』兵藤、岩波文庫、2014年)の文体との違いに時代の違いかと思ったが、せいぜい50年の違いに過ぎない。むしろ南北朝時代という凄まじい戦乱の世がつくった文体なのだろうか。この続きが出てきたら読もうと思うが、まずは、思い出した『徒然草』を歴史家が歴史資料としてどう扱っているか読むことにしたい。以前に少し読んだが、記憶があやふやなので、最初から読むことにした。本当に睡眠不足になりそうである。

五味文彦氏の問題意識は以下に明らかである。

「兼好はどのように過去の時代の記憶を抱いていたのであろうか。語る過去の時代とはいかなる時代であったのか、そのなかからどのような記憶を綴ることになったのか、それらの情報をいかに得たのか、過去とどう向かい合っていたのか、といったことなどを問題にしたい」(第1部時代の記憶、第1段)

今まで、登場人物を時代に合わせてみてなかったが、序章『徒然草』の記憶で五味文彦氏は二百三十一段の園の別当入道と北山の太政入道殿が重なり合う時期として後嵯峨院の時代を指摘し、後嵯峨院の時代の記憶を物語るとした。時代が特定されるとリアルさも感じられる。

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