『新人生論ノート』(2005)

読書時間
木田元『新人生論ノート』集英社新書、2005年、2010年第4刷
木田元の語学の勉強法を丸山有彦氏がブログで紹介していたので、読んでみようと思った。本当に私はシツコイ性格なのだろう。それは、第三章 記憶について に書いてあった。丸山氏の紹介で十分な内容であった。この父親から教わったという三ヶ条は単純だが、実行はあんがい難しい。ここにメモしておく。
1.昨日のことは覚えているが、一昨日のことは忘れる
2.普通の頭脳の持主なら、同じことを五日つづけて繰りかえせばいやでも覚える
3.眼で見るだけではなく、手で書いて覚えろ
むしろ、ベルクソンの『物質と記憶』では、記憶を〈習慣-記憶〉と〈表象-記憶〉に分けた説明がされていた。ちょうど、平井靖史氏の『世界は時間でできている──ベルクソン時間哲学入門』(青土社、2022年)を通勤時間に読み始めていたものだから、興味が沸いたのだ。そして『思想と動くもの』では「例外的に突然生活への注意が失われると、「たちまち魔法にかかったように過去がまた現在になる」ことがある」(p.38)という事例を持ち出したと木田元氏が書いていた。いわゆる滑落などで自分の死に直面した登山家の人生の記憶がパノラマのように甦るこという話である。木田元氏はこれをあっさり否定したのが面白かった。

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