土居市太郎名誉名人の『必死と詰将棋』(1958)

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土居市太郎『必死と詰将棋』大阪屋號書店、1958年

奥付を見ると、定価80円、地方定価85円とあった。将棋ポケット文庫の中身は必死問題70題、詰将棋60題である。200頁の中でのやりくりを想像してもらえると面白い。必死問題は1問で解答合わせて2頁、詰将棋問題は2問で2頁と窮屈になっている。

それでもって、問題は易しいかというと、そんなことはなく、私でも初見ではなかなか解けない。必死問題は、可能性のある手を全て読む必要があるので、難しいところがある。詰将棋問題も5手詰の易しいのから、27手詰まであり、自力で解ければ有段者の実力はあると思われた。

土居市太郎名誉名人のはしがきを読む。

「本書は極く初心の方にも判る様に、最も基礎的な問題七十題を系統的に解説し、一問毎に棋力向上に資する様努力を傾注した。

後編の詰将棋も初心型六十題を撰び、終盤の實力養成に遺憾なからしめたが、尚進んで研究される方には拙書「詰将棋ポケット虎の巻」「最新詰将棋讀本」の並讀を願って置く」。

初心という言葉の意味は深い。

注)難易度は個人的な感想であるので、参考程度にしかならない。プロの作る図はアマチュアの詰将棋作家が作るものより解き易いと感じるのは、教えるべき基礎を考えて余計な枝葉は切り落としているからであろうか。

注)「必死」か「必至」か。

今の本は「必至」とする場合がほとんどだ。自分の中では、次に必ず詰む場合は、「必至」にしている。プロも問題を出す場合は「必至」と使うことが多い。「必死」問題には、玉方の応手により次の手で即詰みにならないものもあるが、「詰めろ」を逃れられないため「必死」といっている。これは、手筋を教示するためのものであり、すっきりした問題にはならないが、勝つためには覚えておくべき知識となる。

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