日本史史料研究会監修 平野明夫編『室町幕府全将軍・管領列伝』海星社新書、2018年
542頁もある新書を立たせて写真を撮ってTwitterに載せたのがタイムラインに流れたのは、執筆者の一人である亀田俊和氏がリツイートしまくっていたせいだった。
室町幕府の成立時期にも議論がある。そういうところから、室町時代を知る必要がある。室町時代の人物を扱った歴史書を何冊か読んできたが、そういう話は出ていなかった。鎌倉幕府の成立は歴史の教科書でも話題になったのは覚えている。室町幕府も同じことだったのだ。すると、幕府の成立と時代呼称の関係はどうなのかという議論もあって良いと思うが、細かい詮索は無用だろう。
鎌倉時代が鎌倉幕府滅亡の1333年で終わって、建武の新政が1334年から1335年、室町時代は1336年から1573年と習った。建武三年(1336年)十一月に『建武式目』が制定され、足利政権が成立したとされる時期から、十五代足利義昭が信長に攻められ京都を退去して政権としての室町幕府が滅亡するまでを室町時代という。その後も足利義昭は征夷大将軍であり続け備後の鞆で幕府を開いているが、もはや政権と呼ぶ状態ではない。足利尊氏が征夷大将軍に就任したのは暦応元年(1338年)八月である。源頼朝が征夷大将軍になる前に鎌倉幕府が成立したとみる歴史学会からみれば当然のことだろう。幕府が成立しても南北朝の抗争は続いていたので、南北朝時代という区分も重なっている。時代区分論はどこまでいっても議論は尽きない。
本書を編集した平野明夫氏が総論の最後で、「室町幕府は、管領を軸とした政権であった。ところが、これまで管領全員の伝記は皆無であった。本書で、将軍に加えて、管領を取り上げたのは、室町幕府における管領の重要性に鑑みた上に、これまでの状況を考慮したものである。本書が、室町幕府を見る基礎となることを祈念する」(P13)と書いていた。本書の的確な価値提示である。
残念なのが足利直義である。兄尊氏の項で扱われ将軍となっていないので立項がされていない。
新書も厚いが文庫も厚い(^。^)
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