御厨貴『権力の館を歩く』ちくま文庫、2013年
権力者を建物を通して政治学者が語る。
2007年1月24日から2010年3月31日にかけて毎日新聞に連載した記事をに2010年に単行本とした。それを2013年に文庫化するに当たりコラムを追加している。
解説の藤森照信氏が御厨貴氏と知り合うくだりも面白かったが、私の興味は、最後に朝吹登水子氏から聞いたという話だった。
戦中、軽井沢で、食糧難で困っていた樵しているというドイツ人に食料を渡していた。「そして終戦。あの樵も来なくなり、ドイツ人だからこれから大変だろうと心配していると、ある日、別荘の前にアメリカ軍のジープが止まり、部下を従えて現れたのはそのドイツ人で、「その折はお世話になりました」と礼を言い、大量の缶詰やチョコレートを置いて帰っていった」という。
ドイツ人の樵と思っていたのが米軍の残置蝶者であったという話しだ。アメリカのスパイ網の凄さを思った。
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