『ルーン文字の世界』(2026)を読む

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ラーシュ・マーグナル・エーノクセン、荒川明久訳『ルーン文字の世界 歴史・意味・解釈』ちくま学芸文庫、2026年

書誌情報
本書は、ラーシュ・マーグナル・エーノクセンが1998年に刊行した”RUNOR: Historia Tydning Tolkning”の邦訳『ルーン文字の世界ーー歴史・意味・解釈』(国際語学社、2007年)として刊行され、その後『ルーンの教科書ーールーン文字の世界 歴史・意味・解釈』(アルマット、2012年)として再刊されたものの文庫化である。
「はじめに」をコペンハーゲン大学付属アウト二・マグヌソン研究所のピータ・スプリンボーがし執筆している。

ルーン文字は古北欧の線刻文字である。
紀元2世紀ころより古ゲルマン諸族で使われたという。
ギリシア哲学とヘブライズムがヨーロッパ世界を形成したといわれるが、ローマ帝国のおよばない北欧のなした役割が気になるのである。

「ナチ党に歪曲されたルーン文字」
まずはパラパラと捲ってルーン文字の形の変遷を見たあと、生活に使われることがなくなったルーン文字の行く末の一つを見たのであった。

「ゲルマン文化の歴史的連続性を既成事実化することがナチ党のイデオロギーとプロパガンダの中心テーマであった」(p.353)。「ナチ党の連続性理論は、第三帝国は古代ゲルマン文化の継承者であり、キリスト教やラテン文化の低劣な影響とは無縁であることが前提となっていた」(同上)。ナチ党によりルーン文字が象徴として使われたという。もっとも、ドイツには数えるほどのルーン碑銘しかない。そこで、「木骨造り家屋の梁の形は実はルーン文字だと」(同上)ルーン学者に表明させることもしたという。
ナチ親衛隊のSSはSchutzstaffelの略称で「親衛隊」の意味であるが、s-ルーンを2つ並べたものである。「s-ルーンは「ズィック(Sig)」もしくは「ズィーク(Sieg)、すなわち「勝利」を意味し、いずれも「勝利のルーン」と「力のルーン」のことであった」(p.355)。
ルーン文字をナチスドイツがデザインとして利用したことは知らなかったので、参考になった。

本書は在野の研究者が専門家の監修を受けて出版した本であり、その後の著作については専門家の批判を受けていることが小澤実氏の解説にある(pp.378-379)。

『ルーン文字の世界』(2026)

『ルーン文字の世界』(2026)

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