加藤周一『読書術』岩波現代文庫、2000年、2023年第26刷
本書の構成は以下である。
Ⅰ どこで読むか
1.寝てもさめても
本はどこで読んでもよい。ベッドが最高!
2.幾山河
通勤電車の時間を読書に充てる話で、ラテン語文法を一年で覚えた話が載っていた。
Ⅱ 読書術
3.おそく読む「精読術」
古典を読むことが推奨されている。教科書を精読することが専門書をはやく読むことにつながるという。ゆっくり急げというわけだ。昔読んだ本にそういうタイトルがあった。基本を抑えないと応用が効かないという至極真っ当なことが書いてあった。
4.はやく読む「速読術」
目のスパンを広げるようないわゆる「速読術」ではない。急がば回れということでわかりやすい本を読むことがはやく読む道というスタンスなのは変わらない。
5.本を読まない「読書術」
ピエール・パイヤールの『読んでいない本について堂々と語る方法』(ちくま学芸文庫、2016年)の内容を先に語っている。
6.外国語の本を読む「解読術」
一般人は翻訳で読めることに感謝して、無理に外国語で読む必要はないというスタンスである。
7.新聞・雑誌を読む「看破術」
専門家は雑誌ばかり読む。論文を読むので本になるのを待っていてはは間に合わない。
日本の総合雑誌の豊富さを讃えている。
8.むずかしい本を読む「読破術」
むずかしい本は読まないに越したことはないという。まず、言葉の意味を理解してから本を読むことが必要だ。言葉の定義を知らないで読むことは効率的でない。英単語を覚えてから本を読むことが効率的だということとパラレルである。
「「むずかしい本をよくわかる法」は、ないかもしれません。私たちにとって「必要なすべての本をよくわかる法」だけがあるのです」(p.207)と結んでいる。
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