『街上不平』(1915)

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土岐善麿『街上不平』東雲堂書店、大正四年
土岐善麿が石川啄木を世に出したとLe Petit Parisienのオーナーが言って、この詩歌集を取り出してきた。オーナー氏は好きらしい。土岐善麿については国文学者で校歌の作詞を多くしたことくらいしか知らなかったが、詩歌集を哀果の号で出していた。
ヴィネガーソーダを啜りながら、前半の貧困をテーマにしたプロレタリア文学ともいうべき詩を読み、後半の短歌を読む。土岐善麿と石川啄木の関係を表す箇所を拾い上げたりした。ここにも口語短歌が詠まれていた。
従軍記者の話し、戦艦常盤(ママ)に乗艦した話しや、第一次世界大戦をヨーロッパの戦乱と書いていた。第一次世界大戦と呼ぶようになるのは第二次世界大戦以降のことである。
注)常盤は装甲巡洋艦として日露戦争で日本海海戦に参戦している。排水量9,700トンであり戦艦という分類には入らないのであるが、一般には軍艦と戦艦も用語の区別はしていないのであろう。

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