『和文英訳の修業』(1981)

Goinkyodo通信 読書時間

佐々木髙政『和文英訳の修業』文建書房、1952年、1981年四訂正新版、2010年第89刷

タイトルからして時代がかっている。
内容は3部構成となっている。

予備編は暗唱用基本文例集に練習問題と解答 126頁
基礎編  188頁
応用編     58頁
索引     24頁
トータル 396頁

予備編の暗唱用例文は500番ある。例文によっては複数の書き方が示されている。

「根気よくこれをくり返しくり返し読んでいただきたい. 日本文をチラッと見て英文が一息にスラスラと言えるまで自らを訓練するのである. そうしてしばらくするとその文例は次第に消化されて自分のものとなり, 時に応じて英語が口を突き, 指先にうずくようになる, すなわち応用ができる段階に到達する. そうしたら文例集に続く「練習問題」にぶつかっていただきたい. われながら不思議なほど楽に英文がつづれるようになっているであろう」(v-vi).

なかなかの宣伝文句である。

前に紹介した佐々木髙政の『英文構成法』(金子書房、初版1947年、第五訂新版1973年)では「まったくこれだけ頭にちゃんとおさまりスラスラ筆に乗るようになれば, 英文家の卵としての資格は十二分だと言える. が一回ぐらい練習しただけではなかなかそこまで行けるものではない. 例文を暗記し練習問題を二度三度と繰り返すだけの根気と熱意をもった人のみがたどりつく第一の峠の頂だからである」(P200).
2020-11-22『英文構成法』(1973)

篠田錦策、佐々木髙政の『和文英訳十二講』(洛陽社、1954年)は「読者が解説を読み, 問題を練習する間に, これらの語句・文章を記憶されることを期待し, またお勧めしたい」(P1).

読み易さでは3冊のうち一番薄い(241頁、索引を入れると283頁)『和文英訳十二講』である。索引が日本語で充実しているので、和文英訳辞典のように使える。

暗唱用は『和文英訳の修業』がまとまっていて使いやすい。練習問題も含めて126頁ある。索引が英語であるので文法からのアプローチの感が強い。

ちなみに『英文構成法』は索引が27頁で全体で355頁である。索引が英語である。「名詞がわかっていて, それにつく動詞を求める場合」や、「動詞がわかっていてそれにつく名詞が思い出せない場合への配慮」による。『英文構成法』は最高峰である。

一度読むだけでは身につかないことは、これだけの学習書を読んできた経験から明らかである。一度読んで終わりではなく、何度も読む。実際に手を動かして書いてみる。暗唱して自分のスキーマを正しいものに置き換えていかなければ何度も間違いを繰り返すことになる。

時間は無限にないので、楽しいと思うことからやるに限る。三日坊主で終わらないために。

#語学 #英語 #佐々木髙政

コメント

タイトルとURLをコピーしました