『英語の読み方-ニュース、SNSから小説まで』(2021)

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北村一真『英語の読み方-ニュース、SNSから小説まで』中公新書、2021年

英文を読むことの前提として読解力の大切さが強調される。いわゆる4技能はバランスよくというのは理想である。しかし、文法を軽視すると基礎となる読解力に問題が出てくる。そうはいってもなかなか楽しい英文法とはならない。その点で澤井康祐氏の『英文法再入門』(2021年)は2周するくらい楽しい本だった。要は作成側の工夫の問題もある。

本書で北村一真(かずま)氏は英文を読む前提条件を3つあげる。「文法の理解」「広い意味での語彙力」「英文の内容に関する背景知識」(P5)。

例題で連鎖関係詞節が出てきて、文法知識の大切さを再確認する。独学でできるようになるまでが語学の難しさであろう。

第3章 時事英文を読む
ここでは、時事英文を読むための5つの法則に基づいて新聞記事の読み方が解説される。以前、ニュースの英語をCNN ENGLISH EXPRESSで読んでいた時は、冠詞の省略くらいは知っていたが、連載関係詞を使った判断の主体の明示(P81)など具体的な文法事項の解説は新鮮に思えた。

第4章時事英文を読む

Edward SapirのLanguageやOtto JespersenのThe Philosophy of Grammerなどマニアックなのは北村一真氏らしい。『英文解体新書』を彷彿させる解説を読むと、まだまだ読めていないことが分かり励みになる。受験参考書でない作りが読物の幅を広げてくれる。受験時代は問題の文章を暗記するくらい読んでいたから、そのあとは社会人になって語彙は増えたけど、構文を解釈する力は伸びていなかった。背景知識で読んでいたところがあった。読むのはChess、Cilmbing、Computer、SecurityとAccountingくらいだったから私の語彙で足りたのだろう。小説が読めていなかったのは、『ヘミングウェイで学ぶ英文法』(2019年)でよく分かった。

受験本以外に実践していく中で、英文法や英文解釈の良い本に巡り合わなかったせいもある。松本道弘氏の本を信じ込んでひたすら多読でやってきたので、雑な読み方になっていた。分からない単語があっても一々辞書を引いて立ち止まらないで、文意を理解できればそれでよしとするスピード重視の思想と勘違いしていたのだった。

第5章 普段使いの英文解釈

Twitter関連の言い方の後で漫画やグラフィックノベルが出てきた。このノベルがラッセルとウィトゲンシュタインの出会いをラッセルが回想しているやつで、こんなところにも北村一真氏の趣味が現れている。小説はGeorge OrwellのNineteen Eighty-Fourとこないだ読んだばかりのEdgar Allan Poeの“The Black Cat”だった。

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