野村恭彦『フューチャーセンターをつくろう』プレジデント社、2012年
人間中心のナレッジマネジメント
野村恭彦(たかひこ)氏が行ってきた仕事のコンセプトを要約した文章があります。
“業務プロセスの改革と異なるところは、従業員をプロセスの奴隷にするのではなく、従業員の持つ価値を再認識し、それを組織的に活かすようにプロセスを再構築する。”
人は組織の一部ではないという社会学の認識があります。ではどうやって組織内にプロセスを構築するかとなると話は難しくなります。ましてAIを使ったプロセスが入ってくるとコンセプトが明確でなければブレてしまいかねません。「従業員をプロセスの奴隷にしない」人間中心のナレッジマネジメントのコンセプトはプロセス設計の指針となるでことでしょう。
フューチャーセンターとは何か
フューチャーセンターはスウェーデンのレイフ・エドビンソン教授が「未来の知的資本を生み出す場」として使った言葉が最初だといいます。
この本はフューチャーセンターとは何かということを現在進行形で明らかにしています。知的資本は人的資本・構造的資本・関係性資本からなります。
“未来の人的資本は「人の成長」であり、未来の構造的資本は「ビジネスモデルなどのアイデアの創出」、そして未来の関係性資本は、「新しい人と人とのつながり」を生み出すことになります。”
そのような共創の場としてのフューチャーセンターは現在の仕組みのなかから自然と生まれたわけではありません。意識的につくろうとしなければ、会社や家族と友人や知人からなる自身の環境を考えてみれば生まれようがないことが分かります。
自らの思いを将来のステークホルダーと語り合う場としてフューチャーセンターがあるとすれば、フューチャーセンターをつくることが未来を考えるための具体的なプロセスとなります。企業の中にも街にもフューチャーセンターがあることを想像すると楽しくなります。
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