『呉越春秋 湖底の城 第8巻』(2017)

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宮城谷昌光『呉越春秋 湖底の城 第8巻』講談社、2017年

闔廬のあとを継いだ呉王夫差が喪も明けないうちから越王勾践との戦いに臨む。執政から遠ざけられた伍子胥は遊軍を率いて越王勾践の首を狙うのだった。今回の情報戦が面白い。情報分析官としての范蠡の活躍がいい。第7巻で范蠡が登場して、主役となった。我々はこの長い大河中国歴史小説の主役は范蠡であることを知る。

これが宮城谷昌光氏の物語の作り方である。『晏子』の上中巻の晏嬰の父の安弱の活躍があって晏嬰が登場する。『孟嘗君』では風洪が第2巻の途中で白圭と名を改めて第3巻まで活躍したあとで田文こと孟嘗君に主役の座を譲ったのと同じだ。

呉越春秋も第7巻まで伍子胥を中心に読んできたので、すでに伍子胥に感情移入してしまっている身としては、素直に范蠡へ切り替えられないでいる。

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