『ヘミングウェイで学ぶ英文法』(2019)

読書時間

倉林秀男、河田英介『ヘミングウェイで学ぶ英文法』アスク出版、2019年第5刷

 

ラジオで都甲幸治氏が『白い象のような山並み』を論じていたのを聴いた時、手元にヘミングウェイがなくて、細部が書けませんでした。そう言えば倉林秀男氏の本でヘミングウェイの短篇を扱っていたのを思い出しました。開いてみると、”Hills Like White Elephants”がありました。岩波文庫の谷口陸男訳は「白象に似た山々」、新潮文庫の高見浩氏訳は「白い象のような山並み」でしたが、倉林秀男氏の訳は「白い象の群れのような山なみ」でした。Elephantsは複数形ですね。

この本は、他に以下の短篇が取り上げられてています。

Cat in the Rain

A Day’s Wait

The Sea Change

A Simple Enquiry

The Light of the World

 

「white elephantは「使い道がないのに維持費が高くつく、厄介物・持て余し物」「無用の産物(長物)」という意味の慣用句として使われています。

このカップルはある「厄介なもの」を抱えているということがわかってきます。それは、女性のお腹の中にいる「胎児」のこと。そう、実は女性は妊娠しているのです」(P182)。

 

女性はgirlと書かれているので、娘と訳していました。二人は結婚していないようです。娘に堕胎を勧めようとする男(man)とそうはさせまいとする娘との言葉によるやりとりを深く理解するには解説書が必要になります。二人が使うitやevrythingなども何を指しているか、短い会話を目で追っていくとあっというまに短篇が終ってしまいます。

 

そうなると以前読んできたものが全て疑わしくなりました。それこそ読解力の問題です。二十歳前後の若者が辞書を使って読んでも限界がありました。考え方が異なる時代になって、どのような視点から読むのか、そういう読み方ができるのは優れた作品なのでしょう。1920年代なので100年近く前のことなのです。

#語学 #英語

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