長谷川郁夫『知命と成熟 13のレクイエム』白水社、2013年
吉田健一が読みたくなって、本箱(段ボール箱)を漁っていたら、この本が出てきた。13人の初めが吉田健一である。小澤書店を創業した長谷川郁夫氏が吉田健一の評伝を出版したのは、この後だった気がするが、読んだことすら忘れているので、買ったかどうかも定かでは無い。そのうち、本箱を開ければ出てくるのかもしれない。
吉田健一は引用するに足る著者であると思う。長谷川郁夫氏が引用したところを読んで、その流れを読みたくなる。高橋英夫氏ではないが、写経したくなるのである。私のいうメモをしたくなる。孫引きは辛いので、本を探したいが、記憶が定かでないので、図書館に行かないと読めないかもしれない。小澤書店のように正字・旧仮名遣いでないと引用するのに気が引ける。もっとも、小説は新字・新仮名遣いで連載していたので、『金沢』(河出書房新社、1973年)を読むと、正字・旧仮名遣いでないことに戸惑ったりする。だから、書誌情報は大切なのだが、そこまで配慮がある編集者は少ない。
小澤書店もなければ、長谷川郁夫氏も既に亡い。今は、若い人達が吉田健一の仕事を評価する時代だ。文藝誌を読まなくなったので、情報に疎くなった。少し読むと眠くなるので、現状で十分であることも確かだ。出来るだけ一棚にまとめて置きたい。森有正、辻邦生そして、吉田健一関係の背表紙を眺めて余生を過ごしたい。
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