今井むつみ『学びとは何かーー〈探求人〉になるために』岩波新書、2016年
1.「学び」を認知科学の視点で論じる
「学びとは何か」を議論しょうとすると、学ぶ目的やプロセスをみていく必要がある。学ぶことが「知識」を得ることを目的としているならば、「知識とは何か」が問われる。「知識とは何か」は認識論の問題である。学ぶプロセスすなわち「学習」を考えていくと、「学習の仕組み」、「記憶」のメカニズムまで議論は及ぶ。認知科学の助けが必要になる。
2.将棋の羽生善治名人の推薦文
本書の読み方が分かる。子供がゼロから母国語を学習する仕組みが分かると、外国語の習得が難しいという理屈も腑に落ちるとのこと。このエピソードだけで本書の性格が分かってしまう。
第2章 知識のシステムを創る
「英検一級、TOEFL、TOEICで高得点を取ることができるのに、英語を自由に使えない人は、要素(私のメモ:言語の音、文法、語彙)の知識はたくさん持っているのに、それらがシステムになっていないのだ」。
「子どもの言語の習得の過程とは知識の断片を貯めていく過程ではなく、知識をシステムとしてつくり上げていく過程に他ならない」。
「知識のシステムをつくっていくためには何が必要なのかを考えていく」。
そうかそうかというわけで岩波新書で薄いのだけれど、結構楽しめる。電車が混んでなければもっと読めるのだが。
というわけで、続くと言って興味が移ってそのままになることが多いのだが、この本の話題はまだ続くかもしれない。
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