『天問』(1990)の話

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十五代樂吉左衞門『天問 樂 吉左衞門作品集』

寛土里、1990年

この図録は樂美術館へ寄付して手に入れたことは、いつだったか書いた。

樂 直入さんの日本経済新聞の私の履歴書2020年2月21日は天問だった。

『天問』は屈原の楚辞の天問篇から引いた言葉だ。1990年の樂吉左衞門さんの個展が新聞で回想されていた。

「かつてない様式を持つ長次郎茶碗が名前さえなく「今焼」と仮名されたように、私の茶碗もまた名称を持たなかった。いまだ名を持たぬもの、それこそ老子の説く「無名天地之始」。新しい命の誕生の証し、この「天問」の解である。私は「焼貫茶碗」と仮の名を付した」。

老子の世界観は最近の『老子』体験で感じてきた。樂 直入さんもそういう経験があった。

1990年の個展を分水嶺として樂 直入さん(当時 楽吉左衞門)の焼く茶碗は利休の依頼により始まった長次郎の侘茶碗から決別し、金銀彩色のゴツゴツとした形の茶碗となった。

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