『語りかける花』(1992)

読書時間

志村ふくみ『語りかける花』人文書院、1992、2010年第19刷

著者のように散歩したい。

嵯峨天皇陵から見る真紅の大沢の池や桂川が赤い帯のようにみえる冬の朝

新年を迎えてすぐ雪の朝のしずもりかえった後宇多天皇陵

(冬を越えよ)

でもこの本は「色のない世界」が書かれていると若松英輔氏はセミナーで話してくれた。

「色のない世界」については別に書くことにする。

この本を外部倉庫に預けているにも関わらずまた買ってしまった。すぐに読まないのなら外部倉庫から取り寄せればよかったが、もうすんだことだ。

「六十の手習いというのは、六十歳になって新しいことを始めるという意味ではなく、今まで一生続けてきたものを、改めて最初から出直すことだと言う。もしかなうならば、私にとって今年がそんな年であってほしいと願っている」(「たけたる位」のこと)。

「たけたる」というのは不完全なことである。世阿弥のいう名人のみがゆるされる至芸である。名人上手が完全無欠な芸をみせても面白くない。

むしろ、初心忘るべからずという言葉が思い出されたが、著者はその言葉を使わずに私に思いを至らせた。

私もまたワクワクするような気持ちで仕事をしたいと思う。

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