片岡義男『彼らと愉快に過ごす 僕の好きな道具について』小学館、1987年、1988年第3刷
元になったのは片岡義男氏がBE-PALに『僕の好きな道具たち』として連載したものだ。しかし、本にするに当たり品物を選びなおし、文書も書き直しているとあとがきに書いてある。連載の面影は、少しは残っているという。108個の道具の写真と文書がなんとも物欲を誘うなかで、一つだけ取り上げることにした。
84 蛇の目をさして歩ける道はないか
京都で買った三本の蛇の目は使われない。私も一本持っているけど、使うことはない。片岡義男氏は、「日本の街の道路は、人が散歩するようには出来ていない」という。
それだけではなく、傘立てがあっても、蛇の目を立てるようなものはない。蛇の目は持ち手を下にして立てかける。やはり、土間があるのはお茶屋や料亭くらいしかない。
結局、そんなところは車で行くから、蛇の目の出番はやってこないのだ。
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