梅棹忠夫『京都の精神』角川ソフィア文庫、2005年
書誌情報
本書のタイトルは京都新聞創刊百周年記念シンポジウム「謎の古代 京・近江ーー京滋文化の源流を探る」の記録 第三回「京滋文化の創造と伝統」シンポジウム 1980年1月26日 於京都産業会館の講演が元になっている。講演は河出書房新社から単行本の掲載された。
梅棹忠夫「京都の精神」京都新聞社編『謎の古代 京・近江ーー京滋文化の源流を探る』218-227ページ、1981年河出書房新社
本書は上記を含めた本として1987年に『京都の精神』として角川選書として刊行されたものに加筆・訂正して文庫化したものである。「京都の精神」も角川ソフィア文庫版では追記されていた。「田園都市国家構想」は大平正芳総理の急逝により実現を見ることはなかったとある。
本箱を整理していたら、何やら奇妙なタイトルの本が出てきた。「京都の精神」とは何のことだろう。この講演はしかし、『謎の古代 京・近江ーー京滋文化の源流を探る』に載っているという。全然記憶がない。ブログを検索したが、NOT FOUNDである。第三回の司会は林屋辰三郎氏である。このシンポジウムで梅棹忠夫氏だけが政策的な提言を行なっていた。京都市民の「一種の首都意識、中心意識、あるいは永遠の意識、こういうものが結局、「京都の精神」の中核部にある」(p.60)という。
文化に関して京都中華思想があると言っている(p.61)。「日本という国が京都対非京都の対立構造になっている」(p.64)。そして、新しい国民文化センターとしての新京都構想を分散型の国土計画に位置付けた。田園都市国家構想もその一貫だと言っている。これでは文化の平準化になってしまう。伝統文化だけが文化と思っているようだ。
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