森護『シェイクスピアの紋章学』大修館書店、1987年
Le Petit Parisienのオーナーよりお借りした。
森護(1923-2000)はNHK職員で西洋紋章学、英国史を専攻と奥付けにあった。ちくま学芸文庫で『紋章学入門』(2022年)が出たので入手したが、一昨年のことだと改めて驚く。西洋紋章学は王室の歴史そのものであるから、歴史に興味がなければ退屈なものであろう。日本の家紋と違い、一人ひとり異なるのが西洋紋章制度である。まさに人に歴史ありである。
シェイクスピア家が紋章を取得したのは父のジョンの時からである。ウィリアム・シェイクスピアの家はジェントルマンの郷士階級であったので紋章取得が可能であった。母メアリー・アーデンも紋章取得女子相続人であったから、両方を合わせた紋章を使うのがルールである。しかし、ウィリアムは父の取得した槍の紋章を使用したのであった。
シェイクスピアは紋章について造詣が深かったのと、芝居の舞台を歴史に求めたことで、紋章にまつわる台詞も多くて、翻訳家を悩ませる元となっている。本書が必要な理由である。
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