髙宮利行『西洋書物史への扉』岩波新書、2023年
書誌情報
西洋書物史を概観する書物である。
口絵の4頁はカラー写真で、目次図版に印刷所のプリンターズ・マークがある。参考文献はあるが、索引がないのが残念といえる。
概説書を期待したが、また雑学が増えただけになったようだ。
おわりにの宣伝文句に釣られて本書を手に取った人は、それに関して、一切本文で触れていないことに気づいても手遅れである。業者の宣伝文句に谷沢永一先生は警鐘を鳴らしてくれていたのを思い出した。本文が全てなのである。
「例えば、図書館や書店で見る洋書の背表紙に印刷されたタイトルが上からか下からか表記されている事実に気づいた皆さんなら、またなぜフランスの本の目次は末尾にあるのか関心を持たれた皆さんなら、本書から何かを得ることができるかもしれません」(p.196)。
注)
口絵右下:The Preacher(レリーヴォ製本、1849年)の写真がThe Origin and Progress of the Art of Writing(p.125)と同じものが使われているのは、校正ミスとしては残念。
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