角田文衞『王朝の残映 平安時代史の研究 第三冊』東京堂出版、1992年
多分、三省堂で買ったと思う。京都から持ってきたとは思えない。本文503ページと重い本である。
「新古今的なもの」を読んでいたら、風巻景次郎の『新古今時代』(人文書院、1936年)のことが触れられていた。風巻景次郎は谷沢永一氏に煽られたことがあったが、角田文衞氏の押しもあり1955年の塙書房版をポチることにした。いつか読みたいと思っていた人である。
「今は亡き風巻景次郎(1902〜1960)が名著『新古今時代』を公にされたのは、昭和11年7月のことであった。同じ年の秋、まだ学生であった著者は、偶然な縁から本書を通読し、さながら電撃を受けたような戦慄を覚え、この歌集のもつ魅力の虜となった。当時、風巻氏は、まだ少壮の国学者であって、知名度も低かったが、同氏が斬新かつ聡鋭な方法を駆使して『新古今和歌集』の本質に迫り、更に歴史学的、社会学的な解釈を通して和歌史上に占める本集の意義を明確にした功績は、まことに画期的であった」(p.453)。
角田文衞氏は中世に関して独自の考えを持っていて、中世を定義してから議論すべきとしていた。もっともである。
王朝シリーズをゆっくり読んでみたくなった。
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