山村正光『車窓の山旅・中央線から見える山』実業之日本社、1985年第3刷
車窓から眺める山の名前が分かればどんなにか楽しいことだろう。スマホの地図が大概は教えてくれるのだろうが、通り一遍では見逃してしまう山を押さえているのがこの本の頼もしいところだ。
長らく中央線の車掌を務められた著者ならではの本である。新宿から松本までの車窓から見える山を写真と見える位置と方向を示した参考図とともに解説している。
京都の人に東京ではどんな山が見れるのか聞かれたことがある。富士山、筑波山、あとは丹沢山塊の山とか、奥多摩の山とか秩父の山としか言えなかった。京都のように三方にいつも山が見えるわけではない。山が遠いのでその分数も多い。幾つもの山の名前をあげても知らない人には仕方がないことだと思った。京都の人は比叡山や愛宕山以外は東山、北山、西山になってしまう。東京は山岳展望に優れた「望岳都」であると言ったらびっくりするのである。これについては『展望の山旅』をいつか紹介したい。
高尾山は何度も登ったことはあるけど、車窓から見たことがなかった。何度も中央線に乗ったけれど、山へ行くのに荷物になるから、本を持って来ることはない。今度はこの本を持って日野春に犬塚勉の画を見に行くとにしょう。
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