『老子』(2008)

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鉢屋邦夫訳注『老子』岩波文庫、2008年、2019年第18刷

加島祥造の『伊那谷の老子』(2004年)を読んでいて、加島祥造の自由で奔放な「老子」を味わう前に、『老子』を読んでおこうと思って書庫を探してみたが、見つからないので本屋でいくつかあるうち、鉢屋邦夫氏の本を買うことにした。古い本は最近の研究が取り入れられてなかったり、飛んでも本であったりする。加島祥造も「馬王堆出土」の『老子』を読んでいて古い『老子』は口語体であったと推測していたので、確認しておきたくなった。

『老子』について『馬王堆出土文献訳注叢書 老子』(2006年)で、「付論、郭店楚墓竹簡『老子』三本の新たな出土」を池田知久氏が書いていたから、手元の本でも良かったのであるが、凡例を読んで私にふさわしいと思った。

「本書は、『老子(老子道徳経)』をできるだけ平易な日本語に訳したものである。配列の順序は、訳文、訓読文、原文、注の順にした。『老子』の大意を把握するには訳文を、伝統的な読み方を理解するには訓読文を、『老子』の元来の面貌を知るには原文を、本書の解釈・翻訳の根拠を知るには注を、それぞれ参照していただきたい。また、さらに一歩踏みこんで、『老子』の世界を理解するには、注のほか、「解説」をご覧いただきたい」。

これだけ丁寧な凡例は見たことがない。本書を買う決め手となった。読み終わってからこれを書いているのではないため、評価が異なるかも知れない。

鉢屋邦夫氏は解説で以下のように評価した上、最近の研究も注釈にも取り入れている。

「『老子』についての現在の研究状況は、56ひとむかし前と、まったく違っている。そのことは、

1973年の帛書『老子』、1993年の楚簡『老子』の発見がもたらしたのである。これらの発見によって、それまでの、『老子』の原型を復元したり、あるいは再構成したりする研究は、ほとんど瓦解してしまったと言ってもよい」(P451-452)。

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