藤木久志『刀狩りーー武器を封印した民衆ーー』岩波新書、2005年
藤木久志氏は日本の「三つの刀狩り」について、秀吉の刀狩りを農民の武装解除令とする見解、明治政府の廃刀令を武士の武装解除令とする見解がそれぞれ誤りであるとした。マッカーサーの刀狩りである市民の武装解除についても、自律的な武器封印とする見解を示した。
秀吉の刀狩りを農民の武装解除令とする見方は、先頃まで一般的だった。堀田善衛の『海鳴りの底から』(1961年)や黒沢明の『七人の侍』(1954年)が描く武器を扱えない非力な農民の姿は今から思えば滑稽である。村から農民の持つ刀は取り上げられたが、害獣用の鉄砲などの武器は残されていた。神事の刀も取り上げられることはなかった。
明治政府の廃刀令は武士の帯刀の禁止であり、袋に包んで持ち運ぶことは禁じられていなかった。
『豊臣平和令と戦国社会』(東京大学出版会、1985年、2005年第5刷)を買ったのは同じ年だから、どちらが先か忘れたが、「刀狩り」に対する通念のようなことはどこにでもあると思い、怖いと感じた。
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