『知の光を求めて』(2000)

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今道友信『知の光を求めて ーー哲学者の歩んだ道』中央公論新社、2000年再版
インペリウムの下の哲学者が何を扱うのか興味があったが、今道友信氏の学問を振り返る伝記のような本を読んでいたら、安倍能成氏から今道友信氏への忠告の話が出てきた。
「哲学を勉強するのなら、次の二つのことをよく心に残しておきなさい。思想は国家で終わるものではない。また、偉大な哲学者は必ず宗教的な憧れを持ち続けている。この二つを君は忘れないように」(p.24)。
これは、第二次世界大戦中に旧制一校にいた今道友信氏が、田辺元氏の「種の論理」の特別講演「文化の限界」を聴いた後に、京大をやめて東大の哲学科に進学することを決めたことが不安になり校長だった安倍能成氏に相談した時の話である。田辺元氏の国家主義的な「種の論理」に反発したのである。日本の「種の論理」を支えるものとして天皇があるという話であった。今道友信氏は「種の論理」を「一口で言えば、民族国家が個人に対してどういう統一をするべきか、また個人はそれに対してどう統一されるべきかという逆対応の論理的必然性へのパトスでした」(p.21)という。
インペリウムの下の哲学者のことを考えていたら、符合する本を読むことになった。不思議な因縁である。

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