最所フミ編著『英語類義語活用辞典』ちくま学芸文庫、2003年
箱を開けて読むシリーズが続いているのは本の発行年を注意深く見ていれば気がつくというものだ。年末に会社に置いてあった本を処分した時、年末は大掃除で本が大量にでるので、正月は値引販売するという話がTwitterに流れた。古書を買おうと思い、神保町を歩いたけど、目的のものはなく、残念だったが、世の中の本の事情を垣間見ることができて、それはそれでよかった。
通勤時に本を読むのは車でなく電車通勤圏内住んでいるからであるが(MaaSの世の中になれば変わると思うが)、新書であっても何日もかかってしまうため(通勤時間が本を読むには比較的短い)、読むそばから忘れていくので再読したりして効率的に読めてなかった。その点で短いエッセイ集とも言うべき『英語類義語活用辞典』は読んで忘れてもよいので気軽である。解説合わせて424頁の文庫本をバックに入れている。
本書は普通の辞書と変わらず、アルファベット順であるが、シノニムをペアでセットしてあり、類義語・同意語・反意語から分析されてニュアンスの違いがビジュアルに記憶に残る。用例が完文なのですぐに応用が効く利点もある。日本人の立場から書かれたThesaurusなので、日本語のあいまいさからくる独特の問題が処理されている点で私たちにとっては都合が良い。
最所フミの「まえがき」と「今回の増補版を前にして」を読んで、最所フミが映画コラムを担当していた話があった。The Japan Timesで足掛け26年間続いたとある。
そして、解説「人間と言葉への鋭敏な感性」を読んでいて加島祥造(かじましょうぞう)が最所フミと3年間同居したことやこの本を文庫として復刊したことを知る。
多分読んでいたはずなのにすっかりこのエピソードを忘れていた。最所フミの本が平積になっているのを見かけたが、2018年10月に緊急復刊したという。Twitterで紹介した本がバズって中古価格が高騰し、出版社へ問い合わせが殺到して緊急復刊したことによるらしい。子安宣邦先生の『仙境異聞・勝五郎再生記聞』もAmazonで高値がついて緊急増刷される事件があったのは2018年2月のことだったが、いずれにしても喜ばしいことである。
加島祥造のことはまた別に書くことにする。
#語学 #英語
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