西平直『稽古の思想』春秋社、2019年
単語帳で言葉のシンボルがつかめないと、類語辞典で用例を見て、自分のスキーマを更新することをしているが、厄介な言葉もある。
「稽古」は「英語で語る場合は、training,practice,exerciseあるいは、study,learn,take lessons,do exerciseなど、文脈に応じて使い分けることになる。さらに、予行演習の意味では、rehearsal、熟達の意味を強調する場合はexpertise、師匠の下で見習う期間はapprenticeshipなども関連する」(p.23)。
「稽古」は「練習」とどこまで区別できるのだろうか。「しつけ」や「修行」との区別を読んでいくと、伝統的な武道・芸道の領域での言葉遣いを一般化しようとするのは無理があるのだろう。
言葉を用例によって厳密に区別はできないので、相手の理解に応じて使い分けることをせざるを得ない。したがって、話ことばは通じるかもしれないが、言葉として書いたものは通じないかもしれないと思うしかない。
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